WithコロナAfterコロナに備えての「働き方改革」についてわかりやすく解説

働き方改革とは?

2020年からのコロナ禍により、最近は耳にすることが少なくなった「働き方改革」ですが、必要無くなったのでしょうか?そうではなく、そもそも働き方改革は、始まったばかりの長期課題と言えます。そのため、アフターコロナに備えておく必要があります。
「働き方改革」とは、安倍政権が掲げた「一億総活躍社会」の実現のために、働く人の視点に立って、労働制度の抜本改革を行い、企業文化や風土も含めて変えようとするものです。具体的には、働く方々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で「選択」できるようにするための改革です。
2018年に「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が成立し、その後、関連法案が整備されました。

働き方改革の目的

日本が直面する「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」、「働く方々のニーズの多様化」などの課題に対応するためには、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境をつくることが必要です。働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現することで、成長と分配の好循環を構築し、働く人一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。

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働き方改革の三本柱

働き方改革を実現するために「長時間労働の解消」「正規・非正規間の格差解消」「多様で柔軟な働き方の実現」の3つの柱があります。

1.長時間労働の解消

長時間労働は、健康の確保だけでなく、仕事と家庭生活との両立を困難にし、少子化の原因や、女性のキャリア形成を阻む原因、男性の家庭参加を阻む原因となっています。長時間労働を是正すれば、ワークライフバランスが改善し、女性や高齢者も仕事に就きやすくなり、労働参加率の向上に結びつきます。

2.正規・非正規間の格差解消

1980年代より、非正規雇用労働者の数は、増加傾向にあります。1984年の非正規雇用労働者の数は、約604万人でしたが、2020年は2,090万人と約3.5倍も増加しています。多くの企業で正規雇用者と非正規雇用者が在籍していますが、同一の労働内容にもかかわらず、賃金や待遇の面で格差が生じるケースが多くあります。
正規雇用と非正規雇用の理由なき格差を埋めていけば、自分の能力を評価されている納得感が醸成されます。この納得感は、労働者が働くモチベーションを誘引するインセンティブとして重要です。それによって労働生産性が向上していきます。

3.多様で柔軟な働き方の実現

ライフスタイルや、キャリアパスは人によって異なります。そのため、すべての人が同じ枠組みで働くことが適切とはいえません。例えば、出産の前後数年といったケースでは、従来の時間通りに働くことは難しくなります。しかし、企業の受け入れ体制を整備することにより、リモートワーク等の柔軟な働き方で対応することも可能になります。
また、転職が不利にならない柔軟な労働市場や企業慣行を確立すれば、自分に合った働き方を選択して自らキャリアを設計することが可能になります。付加価値の高い産業への転職・再就職を通じて国全体の生産性の向上に寄与することになります。

働き方改革の全体像について

働き方改革を推進するために関連する法律が改正されました。以下、知っておきたい9つの改正点について解説します。

1.残業時間の上限規制

時間外労働の上限を年720時間、月100時間(休日労働含む)、2~6ヵ月の平均80時間(休日労働含む)に設定されました。

2.勤務間インターバル制度の導入

終業と始業の間に一定時間以上の休息時間(インターバル)を確保する「勤務間インターバル」制度の普及促進に努めなければならなくなりました。

3.有給休暇取得の義務化

年間10日以上の有給休暇が付与される労働者に対し、そのうち5日間は有給休暇を取得させることが義務付けられました。労働者の希望の有無にかかわらず、企業は有給休暇を取得させなければなりません。

4.割増賃金率の猶予措置廃止

月60時間を超えた時間外労働にかかる50%の割増賃金率について、現在中小企業に適用している猶予措置が、2023年4月から廃止されます。

5.フレックスタイム制の拡充

始業や就業などの労働時間を、ライフスタイルと調和を図りながら決定する制度です。法改正により、清算期間が1ヶ月→3ヶ月に延長され、労働時間の柔軟な調整が可能になりました。

6.労働時間の客観的な把握

健康管理の観点から、すべての人の労働時間の状況が客観的な方法その他適切な方法で把握するよう法律で義務付けられました。

7.産業医の機能強化

健康リスクの被害を見逃さないために、産業医による健康相談や指導を強化する制度です。それに伴い、企業は適切に対応するために万全な体制を整える必要があります。

8.同一労働・同一賃金

企業・団体において、正規雇用者と非正規雇用者の間に、賃金や福利厚生など不合理な待遇差がある場合、解消しなければなりません。

9.高度プロフェッショナル制度の創設

高収入(1,075万円以上)で専門知識を持った労働者について、本人の同意などを条件に労働時間の規制から外す制度です。勤務時間に縛られずに働ける代わりに、残業代や深夜・休日手当が支払われなくなります。

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働き方改革をはじめる4つのポイント

Withコロナであれ、Afterコロナであれ、今後労働力不足になるのは、間違いありません。選ばれる企業になるために、働き方改革に取り組む必要があります。では、働き方改革を始めるときに必要な4つのポイントを説明します。

1.動機と目的

組織だけでなく、労働者一人ひとりに、働き方改革に取り組む動機と目的がなければ、改革は成功できません。「ノー残業デー」「プレミアムフライデー」など、流行やブームで始めた制度は長続きしません。働き方は、「企業文化」です。
・労働者の健康のため法令を遵守
・ブラック企業とならないためホワイト企業として採用活動に活かすため
・労働生産性を高め企業競争力を高めるため
など、目的は企業それぞれですが、働き方改革への強い目的意識が必要です。

2.問題の洗い出し

働き方改革に取り組むことで、逆に問題になることも珍しい話ではありません。企業・労働者にとって、何が本当に重要な問題なのかを見極めなければなりません。
例えば、「残業禁止」でいくつ企業の問題が解決できるでしょうか。
・アイデア先行でルールが定まらない
・中間管理職の負荷が増えている
・強制参加的な会議が多い・生産性が低い
・過去の失敗が活かされない
・特定個人の人間関係が悪影響を与えている
など、残業を減らすだけでは解決できない問題を抱えている企業がほとんどです。問題点を把握したうえで取り組む必要があります。

3.情報と知識

働き方改革法案により、労働基準法や労働契約法などの法律を知識として身につける必要があります。今の時代、ネットで情報があふれています。手に入れた情報が法的に正しいかどうか判断する基礎知識が必要です。また、最新の事例にも注意を払う必要が出てきます。

4.投資の覚悟

管理のためのシステム投資や、今まで支払っていなかった残業代の支払いなど、何らかの投資が必要になる企業がほとんどだと言えます。働き方改革に何らかの投資は必ず必要になります。最適なソリューションがあるのに買い渋って乗り切ろうとすることで逆効果になる可能性は大いにあります。正しくシステム投資、人的投資をすることが、働き方改革成功のカギです。

まとめ

企業それぞれに課題は様々ですが、働き方改革に取り組むことによって人材不足対策につながるほか、仕事に対する労働者の意識が変わり、業務効率の向上など、多くのプラス効果が期待されます。企業と労働者が、より良い将来の展望を持てるよう、働き方改革に取り組んでみましょう。具体的な対応策を知りたい場合は、木戸社会保険労務士事務所までご連絡ください。


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投稿者プロフィール

石田厳志
石田厳志
木戸社会保険労務士事務所の三代目の石田厳志と申します。当事務所は、私の祖父の初代所長木戸琢磨が昭和44年に開業し、長年に渡って企業の発展と、そしてそこで働く従業員の方々の福祉の向上を目指し、多くの皆様に支えられて社会保険労務士業を行ってまいりました。
当事務所は『労働保険・社会保険の手続』『給与計算』『就業規則の作成・労働トラブルの相談』『役所の調査への対応』『障害年金の請求』等を主たる業務としており、経営者の困り事を解決するために、日々尽力しています。経営者の方々の身近で頼れる相談相手をモットーに、きめ細かくお客様目線で真摯に対応させていただきます。