人事制度に関する助成金について解説

人材確保等支援助成金とは

先月は、人事制度について解説をしました。会社が人事制度を導入する場合、通常は外部のコンサルタントに委託するケースが多いです。その場合、高額な費用が発生します。費用の負担を和らげる手段の一つとして、国から助成金をもらう方法があります。今回は、人事制度に関する助成金について解説します。

令和3年10月現在、人事制度に関連する助成金として、人材確保等支援助成金があります。人材確保等支援助成金は、魅力ある職場づくりのために労働環境の向上等を図る会社に対して支給されるお金です。

人材確保等支援助成金の目的

人材確保等支援助成金は、全部で9種類に分かれています。魅力ある雇用の創出を図ることにより、人材の確保と定着を目的としています。
9種類ある中で、人事制度に関連する助成金は、人事評価改善等助成コースです。

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人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)とは

生産性向上に役立つ人事評価制度を整備し、定期昇給等のみによらない賃金制度を導入することによって、生産性の向上、賃金アップ及び離職率の低下を図る会社に対して支給されるお金です。

人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)の支給金額

離職率低下、賃金アップ、計画開始から3年後の生産性向上の要件の達成した場合、「80万円」もらえます。

人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)のメリットとデメリット

メリット

1.従業員のモチベーションアップ

賃金アップを伴う人事評価制度・賃金制度を整備するので、従業員の意欲が向上します。

2.会社のイメージの向上

評価の基準、評価による賃金の変動幅の公開などが必要になるため、会社の人事評価と賃金制度の透明性をアピールすることができます。

3.離職率の低下

従業員が、正当に評価されていると感じることができれば、従業員は会社への信頼が増し、離職率の低下につながります。従業員の定着促進は、生産性の向上にもつながります。

デメリット

1.受給するまでの手順が複雑で時間がかかる

専門性の高い様々な書類を準備し、提出する必要があります。また、助成金を受給できるのが、最低でも2年以上先になります。

2.コストがかかる

申請の要件に賃金の値上げがあるため、人件費による負担が増えます。助成金は、一回だけの支給です。しかし、賃金の値上げは長期的に行わなければなりません。例えば、年収400万円の従業員の賃金を2%上げると年間8万円の負担増になります。年収400万円の従業員が10人で、2年間賃金を払うと160万円の負担増となり、支給される金額の80万円を超えます。そのため、助成金をもらうことだけを目的としている会社は、注意が必要です。

3.会計検査院の調査の対象になる

国の助成金制度であるため、助成金をもらった会社は、国の会計検査の対象となることがあります。対象となった場合は、調査に時間をとられるようになります。

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人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)の申請の流れ

1.人事評価制度等整備計画の作成・提出(計画の認定申請)
   ↓
2.認定を受けた1.の整備計画に基づく人事評価制度等の整備
※就業規則に明文化することが必要です
   ↓
3.人事評価制度の実施
※すべての人事評価制度等対象労働者に実施することが必要
   ↓
4.全ての目標を達成
※人事評価制度等の適切な運用を経て、「生産性の向上」「労働者の賃金の引き続き2%以上のアップ」「離職率の低下に関する目標」を達成する必要があります。
   ↓
5.目標達成助成の支給申請
※提出期間は、評価時離職率算定期間の末日の翌日から起算して2か月以内です。
   ↓
6.審査終了後、「80万円」が支給

まとめ

人事評価改善等助成コースは、人事評価制度や昇給について前向きに考えている会社に該当する制度です。申請する場合は、受給金額にとらわれずに、長期的に人事評価制度を継続できるのか、業績改善につながるのかなどを慎重に考える必要があります。

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投稿者プロフィール

石田厳志
石田厳志
木戸社会保険労務士事務所の三代目の石田厳志と申します。当事務所は、私の祖父の初代所長木戸琢磨が昭和44年に開業し、長年に渡って企業の発展と、そしてそこで働く従業員の方々の福祉の向上を目指し、多くの皆様に支えられて社会保険労務士業を行ってまいりました。
当事務所は『労働保険・社会保険の手続』『給与計算』『就業規則の作成・労働トラブルの相談』『役所の調査への対応』『障害年金の請求』等を主たる業務としており、経営者の困り事を解決するために、日々尽力しています。経営者の方々の身近で頼れる相談相手をモットーに、きめ細かくお客様目線で真摯に対応させていただきます。